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【後編/ナニワヤ】戦後復興とともに歩んだ歴史 未来は子どもたちのために

前回は、「ナニワヤ」さんの社長・服部さんの商品に対するこだわりや、若い頃の冒険を通して得られた経営哲学といったものをお聞きしました。

引き続いて、さらにナニワヤさんの歴史を紐解いてみましょう。

歴史は、未来につながっています。

 
復 興 〜焼け野原の中で店を再開〜

ナニワヤ(浪花屋)の名前は、1905(明治38)年、鋳型の職人をしていた服部さんの祖父のところに嫁いできた祖母が始めた乾物屋さんが始まりです。

関西から来た者が店をやってます。といった意味で名付けられたのでしょう。

現社長の服部さんは、1941(昭和16)年、太平洋戦争が始まった年の生まれ。

戦時中は当時のほかの子どもたち同様、地方に疎開していました。

4歳の時、疎開から戻ってきて目にしたのは、一面の焼け野原でした。

街全体が少しずつ立ち直ってくる中、ナニワヤも再開。

新しく作り直した当初は、タタミ20畳分くらいの小さな店だったそうです。

元銀行員の父も経営に加わると、祖母と母が商っていた乾物屋は少しずつビジネスが広がっていきました。

やがて服部さんの兄も経営に加わります。

服部さんが15歳くらいの時には、店はセルフサービス形式の“スーパーマーケット”になりました。

日本では、東京・青山でセルフサービスという業態の店が最初にできたとされています。

ナニワヤでの導入は、その3年後でした。

アメリカで初めてスーパーマーケットが誕生してから二十数年後のことです。

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さらに、そこに「精肉をその場でラッピングしてお客さんに直接販売する精肉部門をつくる」という新しい息吹を吹き込んだのが、現社長の服部さんでした。

精肉部門をつくってから、もう半世紀以上が経っていますが、お肉はいまだナニワヤさんの目玉商品です。

そのお肉を使ったさまざまな惣菜も人気があり、お客さんに愛されています。

大人気商品のローストビーフもここから生まれたわけです。

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感 謝 〜利益はみんなに還元したい〜

ナニワヤさんでは、無駄な人件費を抑え、また、社長が土地・建物のオーナーだから家賃はゼロ。

チラシなどの広告費も最低限。

こうして最大限に利益を出せるような経営をしたうえで、その利益をできるかぎり顧客に還元したい。

いちばんはもちろん価格をできるだけ低くすること。

そして、お客さんに「あそこの商品だったら間違いない」と言ってもらえるような商品を提供すること。

さらに、指定日のレシートを持参すると、レシート金額の半分をキャッシュバックする「半額会」を毎月行っています。

指定日は前月のうちのどこかだから、買い物したのが1回だけなら当たる確率は約30分の1。

常連さんほど当たる確率が上がるのですが、だからといって毎日少しずつ買っていたら、せっかく当たっても戻ってくる金額は少なくなります。

しかも、持参してもらうレシートの日付を毎月指定するのは、知恵の働く服部さんの担当です。

ある月は他店の“一の市”に対抗して「1日」、ある月は前月で売上げが一番多かった「26日」といった具合にアマノジャクなのだそうですよ。

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「お客さんとの”知恵くらべ”だよ」と言って、服部さんは笑います。

服部社長
そんな方法で現金のキャッシュバックなんてしちゃって大丈夫??
って言われるけど、みんなが当たるわけじゃないからね。計算すると毎年、売上全体の1%程度を還元してるんだよ。そのくらいはお客さんに還元したい。足を運んでくれるお客さんに支えられているんだから。

 
たとえば年商15億円とすると、その1%は1500万円。

これって、けっこうな金額ですよね・・・。

たいていの経営者は、こうしたお金を次の店舗を出すための資金にするものです。

ナニワヤさんはずっと順調な経営を続けていながら、よそ見しないで充実させていくために全力を注いでいるのです。

すべてはお客さんのために。

言葉で表すだけじゃない、こういった感謝の伝え方もあるんだな。

 
後 継 〜次の世代に引き継ぐために〜

服部社長
来てくれるお客さんに対して「正直な商売」を続けていきたいと思う。でも、それだけじゃなくてね。この歳だと、もうそんなに先がないでしょ。戦争を知ってる最後の世代として、次の世代に何を遺せるか。ということをいつも考えてる。

 
そんな思いから小学生の店舗見学を受け入れています。

スーパーの裏側を見ることは、子どもたちにとってはとても新鮮で貴重な体験。

見学した子どもが、また親と一緒に尋ねてくると、「僕このお店の上とか見たことあるんだよ」と親を引っぱってきて自慢したりするのだそうです。

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訪ねてくる子どもたちをいつでもあたたかく迎えるために、絵本や金魚の水槽を置いたり、子どもたちの目線の高さに動物の写真を貼ったりと、いろいろな工夫をしています。

服部社長
スーパーに行ったら子どもたちは普通、お菓子売り場に走ってく。でも、うちに来る子たちは、そうじゃないんだよね。

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女の子
シャチョーいる?

従業員
うーん、社長どこかな。一緒に探してみようか

実際、こんな光景を目にしました。

近所の子供さんでしょうか。

そうです、お菓子を買いに来たわけではありません。

社長個人を訪ねて来たのです。

それに対して、従業員も当たり前のように自然に対応しています。

どんな相手にも、分け隔てなく笑顔で真摯に向き合う。

服部さんのそんな資質が、いつまでも愛され続けるナニワヤの秘訣なのかもしれません。

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今日もいつもの笑顔でお客さんをあたたかく迎えているでしょう。

ライター Sawa

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スーパー ナニワヤ
住所 麻布十番3-9-5
TEL 03 3451 6485
営業 午前8時~午後10時
年中無休(1月1日・2日のみ休)

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