麻布十番新聞は麻布の粋な情報を発信するWEBマガジンです。

【前編/ナニワヤ】アメリカから学び 技術を取り入れた社長の冒険心と先見性

本日は、“あの”「スーパーマーケット ナニワヤ」さん。

麻布十番で商いを始めて百年以上という、もはや仙人様のような存在です。

これまでもテレビや雑誌で紹介され、大手スーパーの経営者クラスが視察に来るほどの業界の有名店。

麻布十番の誇り、といってもいいでしょう。

でもね。

いろいろ紹介されているから、やっぱり「あー知ってる」ってなるでしょう??

そうじゃないところまで掘り起こしちゃうのが、麻布十番新聞なんですよ。

 
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まず紹介したいのは、77歳にして現役で店のあらゆることを取り仕切っているナニワヤさんの現社長・服部さんです。

 
服部社長
うちの店は、手づくりのおいしい惣菜が充実しているし、肉の味ではどこにも負けないよ。バックヤードや社員寮も、あとで連れてくから。

麻布十番新聞
ありがとうございます。では、お言葉に甘えて、まずは店内を見せてもらいますね。

 
情 熱 〜商品へのこだわり〜

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麻布十番新聞
ナニワヤさんの目玉といえば、やはり精肉ですよね。

服部社長
肉はね、僕が市場の“競り”で競って、もってくるの。週に3、4頭分。それで、毎日1頭の半身をここで処理して店頭に出すわけ。だから僕自身、1頭1頭の味がわかってる。

麻布十番新聞
えー! ここで半身の牛を解体してるんですか?! そんなスーパー聞いたことないです。だから、お肉の品揃えが豊富なんですね。

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服部社長
肉だけじゃなくてね、日本中から“こだわりの商品”を集めてるの。だから、店内のあちこちに「社長のおすすめ品」っていうカードがついてる。これが説得力があってね、お客さんは「社長のおすすめ商品はハズレたことがない」って言うんだ。

 
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麻布十番新聞
確かに言われてみると、ほかでは見たことないような品ぞろえです・・・あ、これも。
想いやり牛乳??

服部社長
それは2週間に1回、北海道から仕入れてる牛乳でね。日本で唯一、搾りたての味を知ることができる商品。一升瓶に入って1本480円。こんな風に少々値のはるものもある。だけどね、「いいものは、おいしくて体にいい」と、僕は思ってる。

なるほど。高級食材店や輸入食品のお店にいるような感じがしていたけど、それは内装のつくりもあるけど、並べられている商品1つ1つに、他店にはない個性とこだわりがあるから、なんですね。

 
渡 米 〜アメリカ横断の旅とホームステイ〜

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大学時代の写真

服部社長
大きなブロック肉を豪快に包んで売っている様子をアメリカの業界誌で見てね。こんなのをうちでもやってみたい!!と思って、勉強しに行ったんだよね。

 
26歳のときにアメリカへ単身渡米、半年間滞在していました。

大学時代に日本全国を巡って旅慣れていた服部さんは、バックパックにスニーカーという出で立ちでアメリカへ。

長距離バスの乗り放題パスを利用して、1か月かけて西海岸のサンフランシスコから東海岸のニューヨークまで、夜行バスを乗り継ぎ、ユースホステルに泊まりながら、旅をしました。

残りの期間は、途中のシカゴで尋ねた日本人の世話で、現地のアメリカ人宅でホームステイをすることができたそうです。

バスが街に停まると、服部さんは肉屋やスーパーをかたっぱしから見て歩きました。

その頃は、“日本人の月給がアメリカ人の週給”というくらいの差があったといいます。

1ドル=360円という固定レートの時代で、しかも日本からは500ドルまでしか国外に持ち出せないというルールがありました。

バスは100ドルで乗り放題、泊まるのは宿泊費が安いユースホステルといっても、500ドルで半年なんて、普通ならとても過ごせる金額ではありません。

当時はなにしろ、日本人が海外に行くのは簡単なことではなかったのです。

服部社長
お金に苦労しながら、現地の人の助けを借りて、知恵を働かせて過ごした経験は、いまでもずっと役に立っている。たとえば、いち早く時給制を取り入れたり、外国人を雇い始めたりしたことも、その1つ。逆に、アメリカでは冷凍食品ばかりで味気なかったことが、今のナニワヤの惣菜がたくさん並ぶ売り場につながっているんだよ。

 
愛 情 〜従業員は家族同然〜

ナニワヤさんの裏側を案内してもらいました。

2階の調理場です。

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年配の女性、若いお母さん、外国人の方など、いろいろな人が一緒に働いています。

国民性の違いを理解しつつコミュニケーションを図ることで、文化の違いを解決しながら風通しのよい職場環境をつくっているそうです。

フレンドリーに接しつつも、ダメな事には「NO」と言える関係が大切。

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3階から上は社員寮と休憩室になっています。

もとは、服部さんの兄家族の自宅でした。

当時社長だったお兄さんは、50歳くらいの時に交通事故で亡くなったそうです。

いまは社員に解放していて、卓球台がありリラックスできる場所としてみんなの憩いの場になっていています。

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ネパールから来ている従業員のタパさんにお話しを聞いてみました。

タパさん
大学院のクラスメートは欧米に行っているけど、僕は断然、日本がよかった。このお店にはいろんな国の人が働いていて、一緒に旅行したりして仲がいい。社長は親切だし、仕事も教えてくれる。

手紙web

お給料は、いまも手渡し。服部さんは毎月、その給料袋のなかに社員への手紙を同封しているそうです。

 
人の考えを知り、取り入れる

ナニワヤさんでは最高齢は90歳以上の方が働いていたこともあるとか。

歳をとっても相応の働き方ができるという考え方。

日本語が得意ではない外国人や、時間の融通がききにくい小さい子のいるお母さんなども同様で、それぞれの「他にはない良さ」があり、強みを生かして働いています。

人を理解することは客商売ではとても重要なことだと服部さんは考えています。

それが、より多くのお客さんの理解につながるからです。

ナニワヤさんはいま経済界で重要視されている“ダイバーシティ(多様性のある)経営”を地でいく最先端の会社なのではないかと感じました。

今回いろいろ見せていただいて、売り場のあらゆる商品から、バックヤードの隅々、さらに従業員みんなにまで、服部さんの愛情が染みわたっている。そんな印象を受けました。

 
引き続いて後編では、さらにナニワヤさんの歴史を紐解いていきます。

ライター Sawa

 
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スーパー ナニワヤ
住所 麻布十番3-9-5
TEL 03 3451 6485
営業 午前8時~午後10時
年中無休(1月1日・2日のみ休)

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